私が勤務していたデイサービスセンターは、併設の通常規模型通所介護事業所でした。十数年前、介護職員として入職し、その後、生活相談員となり、通算4年弱従事していました。ここでは、そのときの体験を基に、デイサービスの生活相談員としての業務について、私見も交えながらお話ししたいと思います。
生活相談員の業務は、事業所の規模や方針などによって、それぞれ独自のものもあると思いますが、生活相談員の仕事に関心のある方、現に生活相談員をしているけれども、仕事内容や役割が、もうひとつはっきりとつかめないでいる方のお役に立てれば、幸いです。
生活相談員の主な業務
生活相談員としての主な業務は、以下のとおりでした。
- 実調・契約
- サービス担当者会議への参加
- 通所介護計画書の作成
- 関係居宅への情報提供
- 介護保険請求関係事務
- 施設内の各委員会への参加
- 営業
- 現場業務
次に、それぞれの項目について、説明します。
① 実調・契約
実調とは、実態調査のことで、デイサービスの利用を希望される本人の居宅等を訪問し、本人や家族から心身の状態や興味・関心事、生活状況等を調査し、適切なサービスが提供できるように情報収集するものです。
基本的には、事業所の「実調書」に記載されている項目に沿って聴き取りなどの調査を行います。
この実調の結果によって、サービス提供の可否(=受け入れ可能か否か)を判断し、可能であれば、デイサービスの利用契約へと進みます。
② サービス担当者会議への参加
介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集する会議へ参加します。
サービス担当者会議では、新規にサービスを開始するとき、介護認定が更新されたとき、ADLに大きな変化があったときなど、ケアマネジャーが作成した居宅サービス計画(ケアプラン)原案に基づき、利用者本人やその家族、関係するサービス事業所の担当者が集まり目標やサービス提供内容の確認・共有などを行います。
新規のときは、サービスの概要やケアプランに記載されているサービス内容について具体的に説明したりします。
更新のときは、デイサービス利用時の様子(心身状態、過ごし方、他の利用者との関係など)について情報提供したり、サービス内容に変更があった場合は、詳細を説明したりします。
③ 通所介護計画書の作成
ケアマネジャーの作成したケアプランに沿って、デイサービスで提供する具体的なサービスを記載した「通所介護計画書」を作成します。
デイサービスでは、この計画書の内容に沿ったサービスを利用者に提供させていただき、一定期間経過後に目標に対する評価を行います。
【参考】
(通所介護計画の作成)
第九十九条 指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。
2 通所介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない。
3 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
4 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画を作成した際には、当該通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
5 通所介護従業者は、それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行う。
引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
④ 関係居宅への情報提供
利用月の翌月の月初に、利用者の担当ケアマネジャーへ、当該利用者のデイサービス利用状況について報告します。
特に、いつもとは違うことがあった場合は、そのことに主眼を置いて報告書を作成します。
居宅のケアマネジャーは、作成した居宅サービス計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画を変更するなどの対応をするため、利用状況についての情報を必要としているのです。
⑤ 介護保険請求関係事務
月初に利用実績を入力したサービス提供票を関係居宅へ提出します。
その後、提出先の居宅から修正等の連絡がないようであれば、介護給付費の請求に進みます。国保連への請求事務まで行うか否かは、事業所によるのでしょうか。
⑥ 施設内の各委員会への参加
事業所の規模や方針、設置状況(単独か併設かなど)等によって違いがあると思いますが、感染対策委員会、事故防止委員会、虐待防止委員会などに参加していました。
⑦ 営業
稼働率100%を目指して、主に居宅介護支援事業所を訪問させていただきました。
利用していただいている居宅介護支援事業所へは、利用状況の報告書をお届けした際に、あわせて、空き情報などをお伝えしていました。
また、利用実績のない居宅介護支援事業所には、訪問計画を立て定期的に情報提供をさせていただいていました。
⑧ 現場業務
相談員としての仕事や手伝いなど、いろいろあります。
- 送迎の配車表作成
- 送迎車の乗務(運転・介助)
- 入浴用備品のセット
- 入浴後の整容
- 食事の配下膳
- 蛍光灯の交換など
- その他もろもろ
まとめ
生活相談員の業務は多岐にわたります。
生活相談員が「何でも屋」と言われる所以です。
また一方では「施設の顔」とも。
実調や契約に利用者宅へうかがったり、サービス担当者会議に参加したりなど、外部の方々と接する機会が多いからでしょうか。
生活相談員とは、現場運営の実務を業務とし「施設の顔」と「何でも屋」を役割としているのです。
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