【体験談】ショートステイ生活相談員の業務|実務経験を通して

私が従事したのは、特養併設ショートステイの生活相談員でした。そのときの経験をベースに、ショートステイの生活相談員として取り組んできたことをお話ししたいと思います。生活相談員に興味・関心のある方、生活相談員は何をしているんだろう…と、疑問に思っている方々のお役に立てれば幸いです。

目次

生活相談員の主な業務

生活相談員としての主な業務は、以下のとおりでした。

  • 実調・契約
  • サービス担当者会議への参加
  • 短期入所介護計画書の作成(相当期間入所している方)
  • 関係居宅への情報提供
  • 介護保険請求関係事務
  • 施設内の各委員会への参加
  • 営業
  • 送迎

次に、それぞれの項目について、説明します。

① 実調・契約

実調とは、実態調査のことで、ショートステイの利用を希望される本人の居宅等を訪問し、本人や家族から心身の状態や興味・関心事、生活状況等を聴き取りし、適切なサービスが提供できるように情報収集することです。
事業所の定める「実調書」に沿って聴き取り調査を行うのが一般的だと思います。

また、ショートステイは、宿泊を伴うサービスですので、夜間の状況について確認することが大切です。
具体的には、就寝時間や起床時間、睡眠の状況、夜間帯のトイレ回数などです。

この実調の結果によって、サービス提供の可否(=受け入れ可能か否か)を判断し、可能であれば、ショートステイの利用契約へと進みます。

② サービス担当者会議への参加

介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集する会議へ参加します。

サービス担当者会議では、新規にサービスを開始するとき、介護認定が更新されたとき、ADLに大きな変化があったときなど、ケアマネジャーが作成した居宅サービス計画(ケアプラン)原案に基づき、利用者本人やその家族、関係するサービス事業所の担当者が集まり目標やサービス提供内容の確認・共有などを行います。

新規のときは、サービスの概要やケアプランに記載されているサービス内容について具体的に説明したりします。

更新のときは、ショートステイ利用時の様子(心身状態、日中・夜間の過ごし方、他の利用者との関係など)について情報提供したり、サービス内容に変更があった場合は、詳細を説明したりします。

③ 短期入所生活介護計画書の作成

相当期間以上にわたり継続して入所する利用者については、ケアマネジャーの作成したケアプランに沿って、ショートステイで提供する具体的なサービスを記載した「短期入所生活介護計画書」を作成します。

「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指します。

相当期間以上利用しない利用者については、短期入所生活介護計画書を必ずしも作成する必要はありませんが、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護・機能訓練等の援助を行うことが求められています。

このときに留意していたことは、ショートステイから帰った後、少なくともショートステイ利用前の身体状態を維持できていることでした。

【参考】

(指定短期入所生活介護の取扱方針)
第百二十八条
2 指定短期入所生活介護は、相当期間以上にわたり継続して入所する利用者については、次条第一項に規定する短期入所生活介護計画に基づき、漫然かつ画一的なものとならないよう配慮して行われなければならない。

(短期入所生活介護計画の作成)
第百二十九条 指定短期入所生活介護事業所の管理者は、相当期間以上にわたり継続して入所することが予定される利用者については、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、指定短期入所生活介護の提供の開始前から終了後に至るまでの利用者が利用するサービスの継続性に配慮して、他の短期入所生活介護従業者と協議の上、サービスの目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した短期入所生活介護計画を作成しなければならない。

引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (平成十一年厚生省令第三十七号)(抜粋)

第10 短期入所生活介護
3 運営に関する基準
(4) 指定短期入所生活介護の取扱方針
① 基準第一二八条第二項で定める「相当期間以上」とは、概ね四日以上連続して利用する場合を指すこととするが、四日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。

引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について 平成11年9月17日 老企第25号(抜粋)

④ 関係居宅への情報提供

利用月の翌月の月初、利用状況によっては利用後に、利用者の担当ケアマネジャーへ、当該利用者のショートステイでの状況について報告します。

特に、いつもとは違うことがあった場合は、そのことに主眼を置いて報告します。

居宅のケアマネジャーは、作成した居宅サービス計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画を変更するなどの対応をするため、利用状況についての情報を必要としているのです。

⑤ 介護保険請求関係事務

月初に利用実績を入力したサービス提供票を関係居宅へ提出します。

その後、提出先の居宅から修正等の連絡がないようであれば、介護給付費の請求に進みます。国保連への請求事務まで行うか否かは、事業所によるのでしょうか。

⑥ 施設内の各委員会への参加

事業所の規模や方針、設置状況(単独か併設かなど)等によって違いがあると思いますが、感染対策委員会、事故防止委員会、虐待防止委員会などに参加していました。

⑦ 営業

稼働率100%を目指して、居宅介護支援事業所や病院を訪問させていただきました。

利用していただいている居宅介護支援事業所へは、利用状況の報告書をお届けした際に、あわせて、空き情報などをお伝えしていました。

また、利用実績のない居宅介護支援事業所や病院には、訪問計画を立て定期的に情報提供をさせていただいていました。

⑧ 送迎

利用者の入・退所時に送迎車の運転や介助に入っていました。

送迎は、利用者の家族と直接会って話せる絶好の機会ですので、利用者の身体状態や自宅での生活状況等について確認させていただいたり、ショートステイでの生活状況等について報告させていただいたりしていました。

生活相談員の主な業務:結び

生活相談員の主な業務として、対外的には、新規利用者の獲得のための営業や実調・契約、サービス担当者会議への参加や関係居宅等への情報提供、利用者の入退所時の送迎などがあり、内部的には、介護保険請求関係や委員会への参加等がありました。

この他にも、ベッドコントロールや職種間の連絡調整などありますが、特養併設の一体的なショートステイということもあり、特養の生活相談員が主に行っていました。

以上は、通常の業務ですが、時には、緊急ショートの依頼を受け、業務時間外に居宅訪問し、新規の方を基本的な実調のみで受け入れさせていただいたこともありました。介護・看護の理解と協力があったからこそできたことです。あの当時、きっと無理をきいてくれたことに感謝するばかりです。

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