特養やショートステイ、デイサービスなどには生活相談員という職種があります。今回は、生活相談員の業務、主に特養での業務を中心にお伝えします。
生活相談員とは?
介護福祉施設の生活相談員とは、一言でいうと、入所者やその家族、関係機関・事業所、職種間の相談・連絡・調整などを主な業務とする職種です。
入退所の手続きや、利用者の生活相談、行政や医療機関等との連絡・情報交換や諸手続き、部署内の職員間(ケアマネ、看護師、介護士、栄養士など)の連絡調整など、仕事内容は多岐に渡ります。
生活相談員の業務
生活相談員の業務は、ソーシャルワーカーとして各施設で共通する部分と、施設ごとに違う独自の部分があります。
例えば、生活相談員と部署長とがハッキリと区分され、それぞれが別人である施設もあれば、生活相談員が部署長を兼務している、あるいは部署長的役割をしている施設もあります。さらに、介助業務が回らなければ、介護職員の手伝いをすることもあります。
介護職、看護職、ケアマネなど、他の職種の業務外のことは、何でもするのも生活相談員なのです。
これが、生活相談員が、良くも悪くも「何でも屋」と称される所以でしょうか…。
ソーシャルワークだけでなく、なんでもするのが生活相談員なのです。むしろ相談業務以外の仕事の方が多いかな…
前置きが長くなってしまいましたが、特養における生活相談員の主な仕事は、以下のとおりです。
入所・退所 関連
【入所相談】
見学者や電話等での問い合わせへの対応。施設の概要や利用料金などを説明したり、施設のパンフレットや申込書を希望者に送付したりします。
◇居宅介護支援事業所、病院等への営業活動もします。
【入所検討委員会】
入所検討委員会の実務(開催案内、資料作成、資料説明、結果の通知など)
入所検討委員会とは?
特養入所申込者の入所優先順位を決定するために施設に設置する合議制の委員会です。委員会は、施設長、生活相談員、介護職員、介護支援専門員等と第三者で構成されます。
【入所手続き】
入所に際し、重要事項や利用契約内容、年間・日常のスケジュール、施設生活におけるリスクや面会時間・場所などの説明をし、本人及び家族(代理人・身元引受人)にご納得いただいたうえで利用契約を締結します。
◇終末期の迎え方についても、本人や家族の意思・希望を確認させていただきました。
◇入所(退所)に係る関係書類を行政機関へ提出します。
【退所手続き】
施設でお預かりしている私物(居室内の物品や介護保険被保険者証などの書類等)をまとめ、家族(代理人・身元引受人)へお返しします。
生活相談
利用者本人や利用者家族の希望や要望、質問、クレームなどに対する相談・連絡・対応をします。
利用者さんの話を、時には30分、1時間、2時間にわたってお聴きすることもあります。
サービス担当者会議への参加
施設ケアマネの主催するサービス担当者会議に出席し、ケアプラン(原案)の確認や内容の共有などを行います。
ちなみに、施設内のサービス担当者会議の主な出席者は、生活相談員、介護職員、看護職員(兼 機能訓練指導員)、栄養士です。
サービス担当者会議には、本人やその家族、医師の出席も想定されていますが、現実的には、かなり難しいですね…。
ケアプラン(原案)は、ご本人、ご家族の意向や希望、意見をお聴きし作成しています。医療情報は、主に看護職員に確認しています。
レセプト関連
利用料の請求に際し、利用日数、入院・外泊の有無、介護サービス費加算の有無などの確認と算定をします。
この業務は、慎重に正確に行わないと、いけません。
請求の間違いは、多くの関係者の方々に、とても迷惑をかけてしまうことになるので、慎重に間違いなくやって当たり前のことなのです。が、時には思いもよらない間違いが出て何度も頭を下げたことがありました…。
まとめ
生活相談員は、利用者本人やその家族からの相談や悩み事、苦情を聴いて、より良い生活が送れるように対応したり、関係機関との連絡・調整をしたり、現場の状況によっては食事や排せつ介助等の手伝いをしたり、利用者の通院送迎をしたりなど、できることなら何でもする、といった職種です。
それぞれの施設によって、多少の違いはあると思いますが、特養の生活相談員を経験された方であれば、ご理解・ご納得いただけることではないかと思います。
生活相談員とは、相談業務のスペシャリストであると同時に、ジェネラリストしての役割も期待されている職種なのでしょう。