【特養選定】特別養護老人ホームを選ぶときのポイント

老人ホームを見学に来た利用者と家族

特別養護老人ホームを選ぶ際のポイントについて、2点にしぼって説明させていただきます。特に、居室の形態については、生活の質に直結してきますので、十分に検討したほうがよいでしょう。想定している特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、入所定員が30人以上の施設です。

目次

従来型とユニット型

施設の構造・支援形態から、従来型とユニット型に分けられます。
居室は、従来型とユニット型とで、それぞれの呼称があります。

従来型

従来型とは、下図のような施設の作りで、基本的には、入所されている利用者全体を介護職員全員で支援(介助)します。集団的ケアを基本としている作りになっています。その中に、多床室や個室(従来型個室)が設置されています。

多床室は、2~4名の居室で、それぞれのベッドはカーテンやパーテーションで仕切られています。

【居室の配置例】

従来型居室(多床室)
2015年の高齢者介護 ~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~

ユニット型

ユニット型とは、下図のような施設の作りで、基本的には、入所されている利用者をユニット(原則10人以下の生活グループ)単位で、各ユニットに配置された介護職員が支援(介助)します。

例えば、入所定員が80名の場合、1ユニット10人単位で8ユニット設置し、それぞれのユニットごとに介護職員が配置され支援(介助)するということです。

個別ケアを基本とした作りで、ユニットごとに共同生活室があり、その共同生活室に近接して居室(ユニット型個室ユニット型個室的多床室)が一体的に設置されています。

【居室の配置例】

ユニットケア型居室
2015年の高齢者介護 ~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~

ユニット型個室的多床室とは?
ユニット型準個室ともいいます。多床室内を天井との間に一定の隙間がある壁(可動できない仕切り)で区切った窓のある定員1名の居室内スペースのことです。

選定の基準

施設を選ぶ際に、まずハッキリとさせておきたいことは、利用者本人が、どのような生活を望んでいるか、ということです。

それと併せて、利用料金も気になることかも知れません。

どんな生活を希望しているのか?

1)一人でいるよりも大勢でにぎやかに暮らしたいのか。

2)一人の時間を大切にして静かに暮らしたいのか。


1)の傾向であれば従来型でも、それほど支障はないでしょう。

2)の傾向であればユニット型を選ぶのが無難でしょう。

プライバシーを守りたい、ということであれば、ユニット型個室の一択です。

費用は、いくらかかるのか?

1ヶ月(30日)の利用料金の目安は、以下のとおりです。

【従来型】
・多床室:9万円前後 ・従来型個室:10万円前後

【ユニット型】
・ユニット型個室:13万円前後 ・ユニット型個室的多床室:12万円前後

注)介護保険の負担割合が1割負担の場合
注)比較のための、おおよその目安です。介護度や施設のサービス内容によって料金は大きく増減する場合があります。
注)利用者本人の所得等により料金の軽減制度があります。
注)料金の詳細は、ご希望される施設で確認してください。

費用は、大きく介護保険分と介護保険外に分かれます。

介護保険分は、施設サービス費と各種加算からなります。

介護保険外は、食費、居住費、日常生活費、理美容代等の実費になります。

【施設の利用料金】
①施設サービス費(加算含む)
②食費
③居住費
④日常生活費
の合計が、一般的には定額料金といっていいでしょう。
その他に、受診代、薬代、理美容代、レクリェーション材料費などの個別負担があります。

【基準費用額(1日あたり)】
・食費:1,445円
・居住費
 :多床室:855円        従来型個室:1,171円
 :ユニット型個室:2,006円   ユニット型個室的多床室:1,668円 
 ※2024年8月~各居住費が、1日あたり60円増額となります。

特別養護老人ホームの平均入所期間は、3~4年です。

入所期間を3年とした場合、上記の料金を参考として、多床室は月額9万円で324万円、ユニット型個室は月額13万円で468万円の費用が必要となります。

現実問題として、この費用をどなたが負担するか、できるかということが選定のポイントになるでしょう。

利用者本人の負担だけでまかなえるのであれば、希望どおりの居室を選択できるでしょう。

しかし、本人だけの負担では無理という場合、どうしたらよいのでしょうか。

結論としては、それぞれの経済事情のゆるす範囲内で決める、ということになるでしょう。

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